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なぜ長崎にスタートアップは必要なのか? 結論、絶対必要!!!

執筆者の写真: KJ SunadaKJ Sunada

一言で言うと、長崎は貧乏です。

それは、造船業が振るわなくなったからでも、観光業がコロナ禍で傷んでいるからでもありません。単に資本が蓄積されていないからです。

応募が枠を大きく上回るほど注目をいただいていることで、「今、なぜ長崎にスタートアップが必要なのか?」というご質問もいただいています。

ちょっと長いんですけど、2つの観点で少しご回答しておこうと思います。

  1. 資本蓄積のためにスタートアップ(上場企業)が必要

  2. 社会変革のためにスタートアップのスピードを使ったほうがいい


現時点で募集人員(12名)を大きく上回る応募をいただいています。

長崎市スタートアップ支援事業「コッコデショ!」は大きな反響をいただいております。
応募は7月9日までとなりますので、引き続きふるってご応募ください。また、すでに応募された方も応募時に届いていますメールから応募動機等の修正が可能です。現在、受け入れ可能人員の増加を検討しておりますが、12名の枠が倍になるってことはないので、悔いのないようにシッカリと記載いただくようお願いします。


 r > g - 投資家の利益は労働者の利益を上回る


少し前に話題になったトマ・ピケティ著の「21世紀の資本」をご存知でしょうか?

過去200年にわたる膨大なデータを整理し、投資利回り(r)が、経済成長率(g)を上回ることを実証的に証明したと絶賛されたものです。


一般的に、労働者の報酬は、経済が成長して企業に利益が生まれ、十分な余裕が生まれるようになってはじめて改善されていきます。さらに、労働者報酬の成長は経済成長よりも低いことも多かったり、経済成長に遅れて成長することもままあります。つまり労働者報酬の伸びは経済成長率よりも低いか、よくても同程度と定義できます。

一方、投資利回りは、労働者というリソースを使って生まれた利益をもとに算出されるわけですが、全体の経済成長のほうが大きいなら、誰もリスクをとって投資する必要がなくなってしまいます。投資家は超過利潤を求めることから、r < g は資本主義の世界において基本的には成立しません(資本が壊れる戦争等があったときには一時的に r < g となっていた時期もあります)。

つまり、r > g は、とっても当たり前の話なのですが、それをデータを集めて説明し直してくれた "だけ" に賞賛が集まったわけで、逆に言うと、「資本が大事だという世の中の当たり前のことを、世の中の多くの人は理解していない」ということを証明したとも言える出来事でした。



長崎はなぜそんなに貧しいのか?

長崎は、日本で初めて、資本主義の最たる仕組みである所有と経営を分離した株式会社が始まっていながら、日本有数の一大財閥である三菱を輩出しておきながら、資本は県外に流出し続け、長崎はいくら頑張ってもお金は流出していく県になってしまいました。


「コッコデショ!」の主催の一社であるふくおかフィナンシャルグループ("FFG")が十八銀行を統合したことで、長崎県を上場企業が一社もない唯一の都道府県にしてしまったのは皮肉です。(だからこそ、FFGは長崎に上場企業をつくることに本気なのだと私は思っています。FFGの功罪をとやかく言う前に、自分たちでどうにかしてしまうくらいの起業家とご一緒したいとも思っています。)


どれくらい長崎県民が貧しいか見てみましょう。

株式・投資信託の保有世帯割合は、一番多い東京にはもちろん遠く及ばず、平均の半分ほどしかありません。

 東京都 26.4%

 平 均 19.3%

 長崎県 10.2%


結果として、一世帯あたりの株式・投資信託の保有資産の平均値にも大きな差が出ます。

 東京都 1,138万円

 平 均 781万円

 長崎県 400万円


現在でも大きな資産の差が出ていますが、"r > g" の理論に従うと、この格差は今後さらに拡大していきます。

特に、地方ほど高齢者比率は高まり、一般的に高齢者に金融資産は偏在していますから、地方の若者はこれからさらに貧乏になります。


スタートアップが多く生まれ、長崎の人たちが少しづつ出資して資本を残し、その資本が上場していくことで1万倍にも、10万倍にもなります。もっとかもしれません。

起業家であるあなたが会社設立のために用意したわずか1万円が、10年後に、1億円にも10億円にもなるのです。100万円用意したものが、100億円にも、1,000億円にもなるのです。そしてそのお金は、さらに次の世代の起業家たちへと注入されていきます。これがスタートアップエコシステム。

だから、今、長崎の若い世代から上場企業を目指すような起業家たちが続々と出てくる必要があるんです。資本蓄積には長い時間がかかります。10年後のために、"今" 行動を起こさないといけないのです。川の流れが徐々に変化していくように、今、芽吹いた小さな流れが、少しづつ蓄積され岩を穿ち、流れを変え、大きな大河を形成していくのです。



スタートアップはスピードのレベルが段違い

新型コロナウィルスのワクチン接種が、1,000人以上を集めて団体で申請する職域接種で一気に加速しています。

一方で、1,000人以上集められない中小企業や、申請が殺到して停止してしまうまでに間に合わなかった大企業など、接種に格差があることにクレームも出ています。


さて、この時、スタートアップ達はとても早い動きをみせました。

(多少誇張も入っている妄想ですが、流れはきっとこんな感じですwww)


政府発表があり次第、自分たちだけでは到底1,000人の従業員数を集められるべくもないことを即座に理解しました。

さらに読み込むと、別に自分たちだけでなく、取引先でもいいことを読み解きます。

政府への確認もとりました。


ワクチンを打つ医師等を準備し、会場を確保する負担を自分たちができるわけもないことを知りました。じゃあこれを誰に負担してもらえるだろうかと考えます。

1,000人規模を順次集めていく会場を数回確保するのにいくらかかるだろうか、事業計画のブラッシュアップを日々行なっている起業家たちにとってそんな計算は朝飯前です。

医師等を確保するにはどうすればいいのだろうか。ヘルスケア業種のスタートアップ達が立ち上がります。


多くの人数を集めないといけない、何社にもわたり、取引先までも含み、各人の都合もあり、キャンセルも出るかもしれない。一方でワクチンの余りを出してもいけない。これどうやってマネージするんだ?

スタートアップ達にとって、これはなんの問題もない課題です。なぜなら、申請開始日の6月8日から接種開始までの6月21日までには、まだ2週間もあり、そこで帳尻をつければよいだけだからです。

目の前の課題に即座に反応し、最大限の情報を収集し、仲間たちとの激論を徹底してこなし、最速で判断をすることは、呼吸をするように当たり前に日々行なっていることです。絶対に帳尻をあわせられる自信が最初からあるのです。そしてうまくいかなかったら自分で責任を取る覚悟もできています(さらに言うと誰も責任を取る必要がないということもコッソリ理解しています。)。


Slackで日々の状況が即座に共有され、各社は最速で社内に適切に共有しました。

スタートアップの凄いところは、これを最前線でやっている人たちに迷惑をかけてはいけない、自分たちができることは、自分たちでやるべきことを最速かつ正確に報告し、結果帳尻をあわせることだと暗黙のうちに理解しています。つまり、誰もクレームしないのです。質問も最低限。


結果、Coral Capital様が実施された「スタートアップのための新型コロナワクチン合同職域接種」は、スタートアップ1,100社、2.5万人をマネージする大プロジェクトとなりました。そして、大きな問題もなく、ほぼ供給通りに接種が進んでいるようです。

本当のストーリーはこちら

まさに、スタートアップ達が社会を動かした事例でしょう。



これが常に人任せのサラリーマンで構成される集団だとどうなるでしょうか?

「いつになったら予約フォームくるんですか?」

「ワクチンの効果ってあるんですか?」

「これは義務ですか?」

とか、クレームの嵐です。そんなん知るかって話です。

自分たちで何かを解決しようとも、したいとも思っていない人たちの集団で、物事が決まることも、前に進むこともありません。


ワクチン接種がいいのか悪いのかという話ではありません。意思決定までのスピードが速いって話です。



少しでも伝わりましたでしょうか?

「世の中を変えるのは自分たちで、自分たちが本気で変えられる」と思っている集団とそうでない集団とではスピードの次元が違います。


そんなに生き急ぐ必要はないという声もおっしゃる通り。

急がない生き方を否定するつもりはありません。

しかし、世界は前に進みます。人類も進歩を止めません。

自分の人生を自分でマネージする方向に少しでも興味があるのであれば、世界を変える挑戦に生きがいを感じるのであれば、起業家という選択肢も考えてみてください。


応募締め切りまであと1日とちょっと。

心を燃やしている起業家の卵たち、集まれ!



 
 
 

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